原油確保へ 産油国に水
官民共同、まずカタール
資源外交、発言力高める
日本の水を中東産油国に供給し、その見返りに原油を確保する官民の事業が本格的に動き出す。日本の下水処理水や工業用水をばら積み船に積み、現地で放出した後に原油を載せて帰国する仕組みだ。経済産業省がプラントメーカーなどとの共同事業を想定し、今月下旬にカタールと条件面の交渉に入る。原油の安定調達に役立てるとともに、資源外交をめぐる日本の発言力を高める狙いがある。
雨が少ない中東では、経済成長を背景とした水不足が深刻で、海水の淡水化や他国からの購入でしのいでいる。このため日本・カタール両国政府は船舶の航行を安定させるバラスト水に着目。カタール行きの船舶は1日あたり1千万トン程度のバラスト水を捨ててきたが、その一部をカタール国内で使える水に切り替える検討に入った。
日本政府は昨年夏から今年はじめまで、水処理プラントの日立プラントテクノロジーや日本貿易振興機構(ジェトロ)も交え、カタールへの淡水輸出を試行してきた。輸送システムに問題はないものの、価格が1立方メートルあたり90~170円とやや高めだった。両国政府は価格設定や取引量、コストの軽減策を詰める。
水と原油を直接交換するには、なお調整作業が必要とみられる。経産省は「雨が多く、工業用水に余剰もある日本にとって、水は安全保障の有力な手段になる」と指摘。カタール以外の中東産油国にも取引を持ちかけ、国内の商社や、資金スキームを練る証券会社などの参加を求める方針だ。