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地球からのSOS

思い切った政策が社会を変える

英国政府主席科学顧問、デービッド・キング氏に聞く

 英国政府の主席科学顧問として政府に思い切った温暖化対策の実施を勧告するなど、内外の温暖化対策の推進に大きな役割を果たすデービッド・キング氏。人類がどう温暖化と向き合うべきかを聞いた。
◆温暖化の現状をどうみますか
「もし行動を取らなければ、今世紀半ばには、この惑星に九十億人を超える人が住むこどができなくなります。温暖化は人類が直面する最大の脅威だといえます」
◆被害は防げないのでしょうか。
「京都議定書の採択以来、国際的な取り組みに目立ったものはなく、十年間が失われました。二〇一二年から温室効果ガスの排出を減らし、五十年に半減させれば温度上昇を(最小で)一・八度に抑えられる可能性があリます。ただ、このときでも(最大で)三・七度の上昇が起こる可能性もあり、両者は同じ確率です。既に温暖化は危険なレベルに達しており、私が言えることは人類は一刻も早く、できる限り排出を減らす必要があるということだけです」
◆希望はありますか。
「世界のリーダーが問題の重要性を認識し始めました。人類は何度も脅威に直面し、それを解決することで賢くなってきました。今すぐ、地球規模で思い切った対策を取れば望みはあります」
◆日本の産業界の取り組みはどうでしょう。
「少し前までは世界中の産業界が温暖化対策に後ろ向きでした。でも今ではほとんどの国の産業界が、市場メカニズムを通じた削減に前向きに取り組んでいます。それが自分たちの利益になり、大きなビジネスチャンスにもなることに気付いたのです。日本がエネルギー効率の向上で多くのことを達成したのは事実ですが、海外の同業者がどんな姿勢で温暖化と向き合っているかを見るべきです」
◆今、必要なことは何でしょう。
「対策技術は既にあるので、それを普及させる政策が重要です。英国政府は、企業に新エネルギーの利用拡大を義務付け、住宅の省エネ基準を強化して新たな建物からの排出をゼロにすることを求めるといった対策を進めています。国の排出量を監視する第三者委員会もつくりました。この委員会は、中央銀行が経済指標を見ながら金利を変えるのと同様に、排出量を監視しながら政府に対策強化を勧告します。思い切った政策が市場を通じて企業の行動を変え、社会を変えるのです。自分たちの子や孫に、どのような惑星を残したいのかを、みんなで考えましょう」

(信濃毎日新聞2008年1月1日より)

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