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地球からのSOS

温暖化、危機感に温度差

 国連の気候変動に関する政府間パネル(IPCC)の第2部会は地球規模での温暖化の影響を認め、国際社会が共通の土俵で議論を進める体制をひとまず整えた。だが環境重視の欧州が温暖化対策に慎重な米国や中国に押し切られ、温暖化の影響を予測した数値は大幅に縮小・削除された。ポスト京都議定書の枠組み交渉でも主要国の足並みが乱れる恐れがある。
 世界約百十カ国の代表らが採択した報告書は、2012年で期限が切れる京都議定書以降の国際的な枠組み交渉の出発点といえる。これまで国際社会には温暖化の根拠や影響を巡る認識にズレがあったが、報告書は人間活動が温暖化の原因としたうえで、平均気温の上昇幅(1990年比)が2~3度を超えれば「負の影響を免れる地域はなくなる可能性が高い」と指摘。気温上昇をこの水準以下に抑えるよう国際社会に迫る内容だ。
 徹夜での部会が終わった6日午前、IPCCのパチャウリ議長(インド出身)は「(報告書は)せかいの注目を集められる内容だ」と自賛した。だがすんなりと議論がまとまったわけではない。

 討議は初日の2日からスローペースで進み、最終段階で議論が紛糾した。欧州各国は具体的な予測数値を報告書に盛り込むよう主張。日本も欧州の立場を支持した。これに対し温暖化ガス排出の大幅削減を嫌がる米国や中国、ロシア、ブラジルが強硬に反発。6日未明には報告書の採択見送りという情報も流れた。
 両者の綱引きは被害の予測値からうかがえる。報告書原案は、平均気温の上昇幅が2~3度を超えれば水不足が深刻化し、10億~32億人に被害が及ぶとしていた。ところが最終段階で米中などが反発、報告書は「数億人が水不足に直面」との表現に修正された。原案では気温上昇で農作物の収穫量が減少、最大1億2千万人に飢餓リスクが生じるとの指摘もあったが、報告書ではすべての数値が削られた。

 急速な温暖化に危機感を抱いた国際社会だが、地域や規模を特定した被害予測を認めれば、新たな途上国支援や踏み込んだ温暖化対策を迫られかねないとの懸念も抱く。
 6月の主要国首脳会議で議長国ドイツは温暖化対策を主要議題に据える。パチャウリ議長は「気候変動は貧困地域への影響が極めて大きい」と強調。主要国に早急な対策を求めたが、各国にはなお温度差がある。

(日本経済新聞2007年4月7日より)


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