
異常気象 世界経済に脅威 日豪同時に影響
日豪同時に影響
高松のあるさぬきうどん店は近く値上げのお知らせを店内に張る。7月からはかけ1杯30円高い200円。燃料や大豆の高値に24年ぶりの小麦粉の値上げが追い打ちをかけた。「めんの主原料が上がれば価格の維持は難しい」
背景にあるのはうどんに適したオーストラリア産小麦の供給不安だ。干ばつで昨年の生産量は前年比で6割減った。売り渡し価格は5%上昇した。
遠く離れた日豪の2人を同時に脅かす異常気象。背景に「地球温暖化がある」と専門家はみる。国連の「気候変動に関する政府間パネル」(IPCC)は世界の気温が2100年までに最大で6.4度上昇すると予測。米海洋大気局(NOAA)によると昨年12月から今年2月、世界全体は同期比で1880年依頼の観測史上、最も暖かかった。
日本では毎時50ミリを超える土砂降りが20年前の1,4倍近くなった。IPCCは温暖化が化石燃料の利用など人為的要因によるとほぼ断定した。元世界銀行エコノミストのニコラス・スターン氏は、温暖化による経済損失は世界の国内総生産(GDP)の5-20%に達すると警告した。経済発展を追及した結果、二酸化炭素(CO2)を増やした国や企業。地球に不可をかけ続ければ、ともに敗者になる。
これから成長を制約するとされてきた環境対応がプラスの競争力に転じる。温暖化から地球を救う努力が制度改革や技術革新を生み、国や企業の価値へつながっていく。シェア世界一を視界に入れたトヨタ自動車の渡辺捷昭社長は「走れば走るほど空気がきれいになる車を開発しろ」と檄(げき)を飛ばす。
日本正念場
「気候を犠牲にして成長させても平和と繁栄は脅威にさらされる」。ベケット英外相は気候変動を国連全体で論議するよう促す。欧州連合(EU)は大胆なCO2削減目標を設定、米国もガソリン消費抑制を表明した。6月の主要国首脳会議(ハイリゲンダム・サミット)を控え、国際政治で温暖化は重要課題に浮上してきた。
3月22日、安倍晋三首相からポスト京都議定書の対応を検討するよう指示を受けた四閣僚の初会合。
甘利明経済産業相がデータを示しながら「日本のエネルギー技術は世界で最も進んでいる」と強調すると若林正俊環境相が「そのデータは各国のエネルギー効率の1面を表しているのにすぎない」と反論した。
日本が持つ高い省エネ技術でどう世界に貢献していくか、戦略は見えない。産業界は個別の企業へのCO2排出削減量の割り当てに反対する。来年のサミット議長国は日本。「議定書離脱で米国が孤立すると思っていたら、いつの間にか日本が孤立しかねない」(東京大学の住明正教授)。日本も環境力の強化で正念場を迎えた。
(日本経済新聞2007年4月2日より抜粋)