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地球からのSOS

温暖化暮らし激変(国連報告予想)

コメ減収最大40% 九州の農家「もう生活できん」

 原案が大幅に修正され、6日、ようやく採択された「気候変動に関する政府間パネル(IPCC)」第二作業部会の第4次評価報告書。それでも報告書は地球温暖化が、私たちの暮らしをすでに変えつつあり、近い将来には激変させるという厳しい内容になった。

 この日採択された報告書は「気温上昇や降雨量の変化が農作物の生産性を低下させ、アジアでは食糧不足が深刻化する」と報告した。日本でも、温暖な西日本を中心に、最大40%の米の収穫減少が予想されている。

「九州は亜熱帯になってきよるじゃないですか」

 長崎県の米どころ諫早市。春には水田に変わる二毛作の野菜畑を見つめ、兼業農家の古賀昭三( 51)はつぶやいた。「米ではもう食べていけん」

 九州は4年連続で、米の不作に見舞われている。一等米より60キロあたり1,000~2,000円安い二、三等米が増え、市内の収穫量は昨年、平年の半分以下に落ち込んだ。

 原因は米が熟する八月末~九月初めの暑さ。県総合農林試験場の古賀潤弥主任研究員によると、主力品種「ヒニヒカリ」は、26,5℃を越えると、一等米の収穫は絶望的だがここ数年、その水準を超える年が珍しくなくなった。高温に強い新品種「にこまる」の栽培も昨年から始まっている。県は2004 年から種子の増産にも取り組んでいる。

干ばつ・不漁 異変、世界中で

大量の食糧を輸入する日本にとって、海外の影響も他人事ではない。

 南米沖ではカタクチイワシに代表される小魚の宝庫。これを材料にした魚粉は畜産や魚養殖のエサに欠かせない。南米産は日本の輸入魚粉の8割を占める。報告書は「海面温度の上昇でサンゴ礁が悪影響を受け、太平洋南東部(南米沖)の水産資源の分布が変化する可能性が高い」と指摘した。その警告を先取りするような現象が昨年、ペルーで起きた。

小魚の漁獲量が前年より約300万トンも減少したため、2005年に 1 トンあたり8万円前後だった日本国内の価格が一時、その2倍まで跳ね上がったのだ。

 広大な穀倉地帯を抱える豪州や北米の水不足も、日本の食糧事情を脅かす。昨年豪州を襲った記録的な干ばつは、南部の小麦畑や牧場を直撃。2006年の小麦畑や牧場を直撃。2006年の小麦生産量は前年比6割減の1,050万トンにとどまる見通し。日本では、業界大手の日清製粉と日本製粉が2月、卸売業者向けの小麦価格の引き上げを相次いで発表している。

気温上昇による生態系への影響
1990年比の
気温上昇(度)
地域 影 響
地球全体 林地ツンドラの47%、寒帯の針葉樹林の23%、低木地の21%、草原(ステップ)の15%、サバンナの14%、ツンドラ地帯の13%、温帯の落葉樹林の12%が消える。
1.6 アフリカ 141国立公園の中の277ほ乳類のうち、8~12%が絶滅の危機
1.8 地球全体 主要な165河川のうち63河川で、10%以上の魚種が消える
1.9以上 地球全体 陸地の生態系の炭素吸収が飽和状態になり、排出源へと転換
1.9 南米 アマゾンの熱帯雨林、生物種が広範囲に消える
2.3 北極圏 北域の森林限界の緯度が西ヨーロッパで0.5度、アラスカで1.5度、グリーンランドで4度北に移動する
豪州 21~36%のチョウが絶滅
2.8 地球全体 6~22%の沿岸湿地が消滅。米国、地中海などで渡り鳥の生息域に大きな被害
3.1 地球全体 林地ツンドラの68%、寒帯の針葉樹林の44%、低木地の34%、草原(ステップ)の26%、サバンナの27%、ツンドラ地帯の38%、温帯の落葉樹林の26%が消滅
3.4以上 豪州 ユーカリの73%が生息限界を超える

生態系破壊に現実味

「気温が1.5~2.5℃上がると、20~30%の生物種が絶滅する可能性がある」報告書は、気温が 1 ℃上昇するだけで、生物の被害は甚大なものとなるとした。しかも影響は、個々の種の絶滅にとどまらない。「気候変化や、それによって起こる森林火災などによって、自然の回復力が追いつかなくなる可能性が高い」との見解を新たに打ち出した。

 たとえば、ある特定の種が絶滅すれば、これをエサにする動物、さらにその動物を食べる大型ほ乳類なども連鎖的に絶滅への道をたどる。最終的に生態系そのものが崩壊、回復できまくまるとの懸念だ。「生態系は水の浄化や穀物、水産物などの資源提供、病気流行のコントロールなど、さまざまな形で人間生活に寄与している。これが崩壊すれば、飲み水の質悪化や、食糧不足など、私たちの暮らしにも大きな影響が出る」と、東大の鶯谷いづみ教授(保全生態学)は指摘している。

(読売新聞2007年4月7日、一面より)


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