地球からのSOS

京都議定書

帳尻合わせでは意味がない

 数字の帳尻合わせでなく、温室効果ガスの実質的な排出削減につながる政策を実施すべきだ。
 京都議定書の対象期間が4月1日から始まる。
日本は2008~12年度の平均排出量を、1990年度比で6%削減しなくてはならない。
 だが、06年度の排出量は13億4100万トンに上り、90年度比で逆に6・4%増加した。マイナス6%の達成は厳しい状況にある。

 政府が閣議決定した京都議定書の目標達成計画の改訂版に、目新しい内容はない。排出削減に特効薬はないということだろう。産業界をはじめ、各分野で省エネルギーに努め、目標達成に最大限の努力をしなければならない。

 福田首相が設置した有識者会議は、国内に排出量取引を導入するかどうかを検討する。排出量の削減に有効な制度なのか、まずは見極めることが肝要である。
 排出量の増加が著しいのは、家庭、運輸、さらに、オフィスビルや店舗などの業務部門だ。自家用車の利用をできるだけ控え、家電製品を省エネ型に転換していくことが大切だ。

 例えば、電球型蛍光ランプに注目したい。白熱電球に比べ価格は割高だが、寿命が長く、効率がいい。白熱電球1個を蛍光ランプに替えると、家庭の電気代が年間約1900円節約できるという。

 政府は6%の削減分のうち、1・6%について、国同士の排出量取引で賄う方針だ。5年間で約3000億円が投じられる。
 目標達成が見込める国から、余った排出枠を購入する。排出枠を売った国は、売却益を環境対策に充てることになっている。

 日本はこの方法で、ハンガリーとポーランドから排出枠を買う方針だ。ロシアなどとも交渉を始めている。これらの国は、90年以降の経済危機などで排出量が減り、排出枠に余裕があるという。だが、これだと、売却益が本当に環境対策に使われるかどうか、検証が難しい。具体的な検証方法を確立する必要がある。

 先進国が途上国で温室効果ガスの削減事業を行った場合、先進国の削減分として計算することも認められている。先進国同士の共同事業でも、技術支援した国は同様に削減量を加算できる。

 こうした手法の活用は、日本の省エネ技術を世界に広めることにつながるだろう。
 13年以降の「ポスト京都議定書」の枠組み作りで主導的役割を果たすためにも、日本は世界の排出量削減に技術で貢献すべきだ。

(讀賣新聞2008年3月31日より)

このページの先頭へ戻る