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京都議定書 温暖化ガス削減

目標達成 日本は赤信号

原発稼働率の推移と目標 京都議定書で日本が約束した温暖化ガスの削減目標達成に赤信号がともり始めた。削減の柱に見込んだ原子力発電所の稼働率が相次ぐ不祥事で低下。一般家庭やオフィスからの排出量が景気回復で予想以上に増えたためだ。政府は来年春までに追加対策を決めるが、産業界の反発もあり達成への道筋は見えない。

 まともに動かない-。

 2006年度の原発稼働率が前年度比2ポイント減で70%を切った。北陸電力や中部電力などのトラブルが原因だ。02年に東京電力の点検データ改ざん問題などで落ちた稼働率が回復してきたばかり。政府で温暖化対策を検討する関係者は頭を抱える。

 政府は削減の具体策を決めた「京都議定書目標達成計画」の改定作業中。実は稼働率を現行計画では約88%としている。原発の二酸化炭素(CO2)排出量は火力発電の20分の1。稼働率を上げて排出量を減らす算段だった。稼働率が約20ポイント下がるCO2は約4%増加する。

 日本は08-12年の5年間平均の温暖化ガスの排出量を1990年に比べて6%削減する義務がある。現実は05年度で90年比8.1%増。目標達成には14%以上の削減が必要だ。3月末までに明らかになった過去の事故隠しもあり原発の不信感は根強い。稼働率が大きく工場する見通しはなく、原発頼みの削減シナリオは崩壊の危機だ。

 さらに削減が難しいのが、オフィスビルなど業務部門や家庭から出るCO2だ。05年度の業務部門の排出量は90年度比4.2%増、家庭は同37.4%増。工場など産業部門は同3.2%減と当初目標(同6.4%減)に達していないが、「家庭と業務の増加は予想以上」(環境省)。

 業務の排出増は都心などでオフィスビルが次々と建設されたためだ。床面積は04年度は04年度段階で90年度比35%増。改定もデジタル家電や温水器付き便座などの普及が排出量を押し上げた。テレビも省エネ型が普及したが、1世帯当り保有台数(04年度)は1.3倍。省エネ効果を台数増や大型化が打ち消している。

 この状況で目標を達成するには痛みを伴う。自主的な省エネルギー努力では削減は進まない。家庭への有力策は省エネ法強化による排出削減だ。床面積が広いビルに課してきた省エネ義務を一戸建て住宅に拡大する。自民党の一部は「新築は義務化」と主張する。国民の反発も予想され、国土交通省は消極的だ。

 産業部門では排出権取引の導入が浮上。工場や企業ごとに排出量の上限を設定。削減を進めて余裕ができた企業が、上限を超えた他社に排出権を売る。ただ産業界は「成長を妨げる。省エネ設備導入を即す税制優遇策の方が効果的だ」(数土文夫JFEホールディングス社長)と反発する。

 6月の主要国首脳会議では議定書が期限を迎える12年以降の枠組み「ポスト京都」の国際的な議論が始まる。EUは2050年に20%削減という目標を掲げて先手を打っているが、日本は国内対策すらまとまらない状況に陥っている。

(日本経済新聞2007年4月9日より)

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