環境技術、途上国に移転
鉄鋼・電力CO2上限をけん制
鉄鋼、電力業界が世界の温暖化ガス削減に向け、日本の進んだ省エネ技術を中国やインドなどに移転する動きを見せ始めた。欧州で進む企業のニ酸化炭素(CO2排出量に上限を設け、過不足分を取引するキャップ&トレード導入の動きをけん制するためだ。技術移転を軸にした部門別の国際連携で削減量を積み上げる「セクター別アプローチ」の実践をめざす。
日本鉄鋼連盟と同連盟に加入する新日本製鉄など大手各社は昨年12月以降、中国で三ヵ所、インドで一ヵ所の製鉄所に技術者らを派遣した。排熱の回収状況など環境対策診断を実施。今後、移転技術の提案に入る。電気事業連合会も2月、インドの石炭火力発電所二ヵ所に対して、長期にわたって熱効率を維持する設備の維持管理手法などを助言した。鉄連や電事連は、世界中の製鉄所や火力発電所のエネルギー効率がすべて日本並みに改善されれば、日本全体のC02の年間排出量の1.5倍に相当する年20億トン(鉄鋼3億トン,火力発電17億トン)の削減余地が生まれるとしている。
京都議定書では中国やインドに削減義務がなく、「ポスト京都」の枠組みづくりではこれらの主要排出国の参加を確保することが課題になっている。12日記者会見した鉄連の関沢秀哲環境・エネルギー政策委員長(新日鉄副社長)は「中国もインドも技術移転に関心が強く(キャップ制より参加しやすい枠組みだ」と述べた。
「セクター別」推進の背景には、キャップを課されると生産拡大の足かせになる鉄鋼業界の事情や、排出枠の取引価格が乱高下すると、経営の先行きが見通しにくくなり原子力発電所建設など長期の事業計画が立てにくくなるという電力業界の危機感がある。