地球からのSOS

鉄鉱石価格65%上げ

大手5社メーカー側、対応急ぐ

鉄鉱石価格  新日本製鉄、JFEスチールなど日本の鉄鋼大手5社と、ブラジルにある世界最大の鉄鉱石供給会社「ヴァーレ」(旧リオドセ)は18日、2008年度の鉄鉱石価格を、前年度より65%引き上げることで合意した。

 値上がりは6年連続だが、資源大手のBHPビリトンはリオ・ティントの買収を目指しており、資源メジャーの発言力がさらに増せば、価格引き上げの圧力が強まる。鉄鋼業界だけでなく鋼材を材料に製品を作っている自動車メーカーなどへの影響も深刻になる可能性がある。

■想定以上

 鉄鉱石価格は世界的な鉄鋼需要の拡大で03年度から上昇していた。08年度の値上げ幅は、05年度(71.5%)に次いで2番目で、1トンあたり約30ドル上昇して約80ドルと、最高となる。鉄鋼各社はユーザーである自動車や造船、家電メーカなどと4月分からの鋼材価格引き上げを目指して交渉に入る。

 JFEは「(鉄鉱石は)我々の想定を超える値上げとなったが、交渉が長引けば、鉄鉱石の需給がもっと厳しくなる」(広報室)と決着は苦渋の選択だった。
世界的な鉄鋼需要の好調さを背景に資源会社は強気で、別の鉄鋼メーカーは「寡占化が進む世界の資源大手は規模が大きく、(鉄鋼メーカーは)相手の意見を押しつけられる」と、巨大化する資源メジャーの存在感に危機感を募らせる。

■負担増

 日本は鉄鋼原料の全量を輸入に依存しており、06年度は約1億4,000万トンの鉄鉱石を輸入した。JFEの試算では、ヴァーレとの今回の合意が、現在も続いている英豪系大手のBHPとリオとの交渉に反映されれば「業界全体で、鉄鉱石だけでも約5,000億円規模でコストが上昇する」(同)という。BHPによるリオ買収が実現すれば、鉄鋼大手の負担はさらに増すことも予想される。

 鋼材価格を据え置いたままなら、高炉大手5社の08年3月期の連結経常利益(予想)合計の約30%が吹き飛ぶ。鉄鉱石以外にも、船賃などの値上げもあり、鉄鋼各社は「コストダウン努力を超える分は製品価格に転嫁せざるを得ない」(神戸製鋼所)との姿勢だ。

■ユーザー

 しかし、国内新車販売台数が原油高などの影響で3年連続で減少している自動車業界は、鋼材価格の引き上げに激しく抵抗しそうだ。トヨタ自動車の渡辺捷昭社長は18日、都内で開いた新車発表の席上、「コストアップ要因を(車の)価格に転嫁することは、今の状況では大変厳しい。全産業で原価低減の努力をしていくことが大事で、話し合いをしっかりしたい」と述べた。

 また、三菱電機もエアコンに使う銅や、鉄の高騰で、原材料の調達コストは上がる。原価率を引き下げるため、安価な素材への切り替えを加速させる必要がある」としている。日立製作所も(AV機器などの)販売価格が下落している中、鋼材価格の上昇で収益は悪化する。(鉄の)部品点数を減らし、コストを抑える」と対応策を急いでいる。

(讀賣毎日新聞2008年2月19日より)

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